
電気工事業
電気工事とは
建設業許可における『電気工事』は、「発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備等を設置する工事」とされています。
その他にも照明設備工事、電車線工事、信号設備工事やネオン装置工事などの工事も含まれます。
電気工事に必要な許可
500万円以上の電気工事を請け負うには「電気工事業」の業種の許可が必要です。
また、元請業者として電気工事を請負い、下請業者に合計金額4,000万円以上で発注する場合は、電気工事業の特定建設業の許可が必要となります。
電気工事士資格
電気工事は、電気工事法により電気工事士の資格が必要な工事の範囲があります。
電気工事士法施行規則第2条に規定されている、電線相互を接続する作業、電線管等に電線を収める作業、配線器具を造営材に取り付け電線を接続する作業等です。
これら以外の作業やこれらを補助する作業は、軽微な工事として電気工事士でなくても従事できます。
電気工事業者登録
建設業許可を取得した事業者が、お客様の住宅や工場・ビルで、一般用電気工作物等や自家用電気工作物の配線や設備工事を行う場合は、電気工事業の届出が必要です。
既に電気工事業の登録をしている登録電気工事業者が建設業許可を取得した場合も、開始届が必要です。
電気工事業の許可を取得するための要件
許可を取得するための要件は以下のとおりです。
1 経営業務の管理を適正に行う能力があること
1-1 経営業務の管理責任者がいること
経営業務の管理を適正に行う能力があることの要件の一つとして、「経営業務の管理責任者として経験を有するもの」を置くことが求められます。
この「経営業務の管理責任者としての経験を有するもの」とは
- 法人においては常勤の役員等
- 個人においては事業主本人または支配人等
といった、営業取引上対外的に責任を有する地位にあり、さらに
- 建設業に関し、5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
- 建設業に関し、5年以上経管に準ずる地位にある者として、経営業務を管理した経験を有する者
- 建設業に関し、6年以上経管に準ずる地位にある者として、経管を補助する業務に従事した経験(補佐経験)を有する者
といった、建設業の経営業務について総合的に管理した経験を持つ人です。
また、以下のD.E.に該当する常勤役員等は「補佐者」を置くことで要件を満たすことができます。
- 建設業に関する2年の役員等としての経験を含む、5年以上役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位にある者としての経験を有する者(建設業に関する財務管理、労務管理又は業務運営の業務を担当する者)
- 建設業に関する2年の役員等としての経験を含む、5年以上役員等(建設業以外を含む)としての経験を有する者
上記D.E.をの補佐者の要件は
- 建設業の財務管理の業務経験5年を有する者
- 建設業の労務管理の業務経験5年を有する者
- 建設業の業務運営の業務経験5年を有する者
上記のa~cは、1人が複数の業務経験を兼ねることができ、複数の業務を兼務していた期間は、それぞれの業務経験の期間として計算することも可能です。
1-2 適切な社会保険に加入していること
経営業務の管理を適正に行う能力があることのもう一つの要件は、「適切な社会保険」に加入していることです。
健康保険、厚生年金保険、雇用保険など、加入が必要な「適切な社会保険」は以下の表の様に事業所の形態により異なります。
事業所 | 常用労働者の数 | 健康保険 | 厚生年金保険 | 雇用保険 |
法人 | 1人以上 | 〇 | 〇 | 〇 |
役員及び同居の親族のみ | 〇 | 〇 | ー | |
個人事業主 | 5人以上 | 〇 | 〇 | 〇 |
1~4人 | ー | ー | 〇 | |
事業主及び同居の親族のみ | ー | ー | ー |
〇:加入義務あり
健康保険について
健康保険は次のいずれかに加入します。
- 協会けんぽ
- 組合管掌健康保険
- 建設国保等の職域国保
雇用保険について
従業員を1人でも雇用している場合は事業者に加入の義務があります。
2 専任技術者を営業所ごとに置いていること
営業所ごとに専任技術者を配置する必要があります。
電気工事の専任技術者は、次のいずれかの要件を満たしていなければなりません。
2-1 資格を取得している
電気工事業に関する下記の資格を取得していること。
試験等 | 資格 | 証明書類 | 一般 | 特定 |
建設業法「技術検定」 | 一級電気工事施工管理技士 | 合格証書 | ● | ● |
二級電気工事施工管理技士 | ● | |||
技術士法「技術士試験」 | 建設・総合技術監理(建設) | 登録証 | ● | ● |
建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理 | ● | ● | ||
電気・電子・総合技術監理 | ● | ● | ||
職業能力開発促進法「技能検定」 | 建築設備士1年 | 合格証 実務経験証明書 | ● | |
一級計装士1年 | ● |
*〇=当該資格+指導監督的実務経験2年が必要です。
2-2 指定学科を卒業し、電気工事業の実務経験がある
以下の指定学科を卒業し、①または②の実務経験があること。
指定学科:電気工学又は電気通信工学に関する学科
①高校(旧実業学校を含む。)を卒業した後、5年以上の実務経験を有する者
②大学(高等専門学校、旧専門学校含む。)を卒業した後、3年以上実務経験を有する者
2-3 実務経験が10年以上ある
電気工事業に関しての10年以上の実務経験があること。
3 財産的基礎があること
一般建設業の許可の場合
以下の①②③のいずれかに該当すること
① 自己資本の額が500万円以上であること
② 500 万円以上の資金調達能力のあること
③ 許可取得後5年間の営業実績のあること
特定建設業の許可
直前の決算において下記の①②③の要件すべてに該当すること
① 欠損の額が資本金の 20%を超えないこと
② 流動比率が 75%以上であること
③ 資本金が 2,000 万円以上であり、かつ、自己資本が 4,000 万円以上であること
その他にも誠実性の要件や、欠格事由に該当しないことなどが求められます。

